11/02/2026
第4回 木曜日放送分
在宅での看取り〜患者さんとご家族を支える〜
・ 在宅で看取りをすることもありますか?
在宅医療で避けて通れないことが在宅での看取りです。住み慣れた家、町で最後まで過ごしたいということは人間として自然な欲求なのではないでしょうか?
また、これから日本が迎える超高齢社会は「多死社会」でもあります。今の入院施設ではこの亡くなる人を全て受け入れるキャパシティーが足りないため病院でない場所での看取りを厚労省が画策しているという一面もあります。
ただし、ただ家に帰れば良いということではないと思います。
・ 在宅で亡くなられる方は多いのですか?
1970年代後半を境に病院で亡くなられる方が自宅で亡くなられる方より多くなり、今在宅で亡くなられる方は12,3%前後です。以前は自宅で亡くなられることが当たり前の時代もあったのですが、病院で亡くなるということが普通になってから 「死」が人々の意識から遠いものになってしまいました。在宅で亡くなるイメージを持っていない方が多いようです。しかし終いの場所が自宅であることは決して悪いことでないと思います。
・ どんな病気の患者さんが多いのでしょう?
在宅看取りで私が見ているのはがんの終末期医療の方が多いのですが、これから様々な疾患を抱えた高齢者、認知症の方が増えていくのではないでしょうか。
・ 大学病院などで「地元に帰りましょう」と言われて「見放されたのか」と感じるということを聞いたことがありますが?
これまでは「できることがなくなったから家に戻ったらいかがですか?」ということもあったのは事実です。それでは「見放された」という印象を持っても仕方のなかったことと思います。
しかし、病院の中では病人として自由のきかない時間を過ごすのに対して在宅では病を抱えながらも 我が家で自分らしく過ごす生活があります。実査に自宅に帰るときには病院の担当医と地元のかかりつけ医の両者が二人主治医として緊密に連携し合い、決して見放すのではなく役割の分担として繋いでいき患者さんの不安を消してあげることが大切であると考えています。よく病院の医師は担当の患者が多くて忙しく、ゆっくり時間をとった話ができないと言われますが、多くの症例を見る病院のシステムではこれはいたし方ないことです。
個人個人の話をよく聞き具合の悪くなった時の細かな病状の変化に合わせた治療は身近にいる医師の方が良いことも多いのです。
一旦在宅に戻った場合でもまた検査や入院の必要が生じればまたその時に病院
と連携することも可能なこともあります。
・ 在宅での看取りで大変なことは何でしょう?
確かにただ家に帰ればハッピーというわけでは決してありません。病を抱えて、自宅で過ごすということは大変なことです。生活と治療の両面を支えられる環境づくりができなければ、在宅で過ごすことは不可能です。病院にいる姿と自宅で生活している姿はかなり異なります。退院前に介護福祉士やケアマネージャーと相談して自宅での生活を支える準備をしっかり整えて帰らないと、ご家族も患者さんも病気以外の苦痛を抱えることになります。
こんな在宅ならしなければよかったというような不幸なことには決してさせていけません。
その上で緩和ケアに精通した訪問診療医が身体の苦痛をできる限りコントロールしていく。今まで身体のことや人生の様々なことを相談してきた、かかりつけ医がそれをできることがベストでしょう
そして決して無理をせず、入院が必要ならまた入院、在宅が良ければ在宅、施設が良ければ施設と患者さんとご家族が自分らしく過ごせる場所を選べる環境を作ることが最も大切なことだと思います。
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