27/08/2026
記事:大舘 脂肪細胞があるのに脂肪腫と判断できない?
慎重な鑑別を迫られる場面があります。
主な理由は、脂肪腫の腫瘍細胞の見た目が
正常な脂肪組織の細胞とほぼ同じだからです。
ではどのように脂肪腫を疑うのか、と言いますと、
標本の脂肪細胞の所見と、
柔軟〜弾力性のある境界明瞭な皮下腫瘤であるか、という
肉眼的な情報を踏まえて判断しております。
一方、肉眼像が脂肪腫と似ることがある腫瘍に
血管周皮腫などの非上皮性腫瘍があります。
こうした腫瘍は多くの場合、脂肪細胞と形が異なる
紡錘形の細胞がFNAで得られることで鑑別ができます。
ただ、非常に稀な例ではございますが、
病変内の線維によって腫瘍細胞の吸引が阻害され、
周りの皮下脂肪の細胞だけが得られてくることで、
脂肪腫を疑う塗沫像になった、という例が経験されます。
脂肪腫っぽい大きめの腫瘤に確実に針がヒットし、
脂肪細胞ばかり得られている状況であれば
脂肪腫でほぼ間違いありませんが、
肉眼所見がいつもの脂肪腫と違う、あるいは
腫瘤が非常に小さいなど、
針生検がやや難しい症例であった場合には、
他の腫瘍を鑑別に残しておく必要があると思われます。
細胞診での鑑別が難しい例で診断を前進させるうえでは、
パンチ生検などの部分的な組織検査が非常に有用です。