一般社団法人信州上田みらい塾

一般社団法人信州上田みらい塾 宮坂昌之(大阪大学免疫学フロンティア研究センター・招へい教授、大阪大学名誉教授)が代表理事です。医学健康情報の発信を行います。

大腸がんの検査はこれまで何度か受けていますが、大腸ファイバー検査は時間がかかる上に検査をされる方の腕前が気になります。一方、人間ドックの際に行う大便検査は便利なのですが、感度がどうなのか心配になります。一方、アメリカでは2024年にFDAが...
15/08/2026

大腸がんの検査はこれまで何度か受けていますが、大腸ファイバー検査は時間がかかる上に検査をされる方の腕前が気になります。一方、人間ドックの際に行う大便検査は便利なのですが、感度がどうなのか心配になります。
一方、アメリカでは2024年にFDAが大腸がんの血液検査として2種類のものを認可しています。いずれも、血液中に出てくるがん細胞由来のDNAを調べるもので、がん細胞が持つ遺伝子異常やメチル化の異常を検出しようとするものです。組織ではなくて血液を取って調べるので、リキッド・バイオプシーとよばれる検査の一種です。
8月14日号の専門誌JAMAにこれらの検査に対する評価が載っています。アメリカのベテラン医学・科学ジャーナリストのRita Rubinが書いたものです。それによると、
1.前がん病変の検出は難しい(前がん病変の細胞は血中には出てきにくいためか)。
2.ステージ1で、10ミリ以下の大きさのものは検出が難しい(がん細胞が血中に出てくる頻度が高くないためか)。
3.10-15%の偽陽性がある。
とのことです。
となると、血液検査なので受けやすいものの、まだ感度の問題があり、既存の方法を超えるものとは言いがたい、ということになります。
私自身は、当面は、これまでもやっている年に一度の大便検査に依存し、何かお腹の調子がすぐれないようなことがあれば大腸ファイバーという順番かなと思っています。

す(https://www.sankei.com/.../20260730.../)。えっと思って、そこに示されているグラフを見たのですが、この分野の専門家ではない私などでもさっと見ただけで、「これはおかしい!」と思ってしまいました。この記...
12/08/2026

す(https://www.sankei.com/.../20260730.../)。えっと思って、そこに示されているグラフを見たのですが、この分野の専門家ではない私などでもさっと見ただけで、「これはおかしい!」と思ってしまいました。
この記事によると、「認知機能障害がない60歳以上で、過去1年間に玄米を食べていない56人の結果を分析。約半数は週4回茶碗1杯の玄米を摂取し、残りは白米だけを食べて、調査前と6カ月後に2種類の認知機能検査を行った。認知機能のうち考えたり判断したりする「遂行機能」を測定するFAB検査(18点満点)は、玄米食グループで平均12.6点から13.5点に向上。白米食グループは、13.7点から13.5点とわずかに低下していた」とのことです。
つまり、わずか6ヶ月間、玄米を食べた人たちは、白米を食べた人たちと比べて、有意に認知機能が向上していたというのです。これに対して、「えー、おかしい」、「何か単一のものを6ヶ月食べただけで認知能力が改善するはずなどない」というのが私の直感でした。
それに不思議なのは、玄米食グループと白米食グループを比べた時に、調査前からFAB値が12.6と13.7と違っていたことです。FABとは、脳の前頭葉の働きを調べるための認知機能検査のはずで、FAB値とはある程度認知機能を反映し、点数が低いほど認知能が下がっている、と私は理解しています。もしそれが正しければ、初めから前頭葉能力(そこには認知能力が関わる)が違うグループに対して玄米食あるいは白米食を摂らせていたことになり、これだと公平な比較にはならないはずです。
そこで、このニュースの元となっている英文論文(Critical Public Healthと言う英文誌に掲載)を読んでみました(https://www.tandfonline.com/.../10.../09581596.2025.2598713)。
すると、いくつかのことがわかってきました。まず、これはオープンラベル試験であったということです。すなわち、被験者を含む調査関係者が、摂取している食物(玄米/白米)の内容を知っていたのです。特に、問題なのは、被験者たちには玄米を摂るか、白米を摂るか、自ら選択させていたのです。これは問題です。というのは、玄米食のほうが健康にいいと思っている人たちがいたとすれば(その多くは健康志向が強い人たちのはずですから)、その人たちは当然、玄米食を摂る選択をしていたでしょう。ということは、これは研究にバイアスが入る原因となります(=選ばれた集団が、初めからお互いに質的に違う集団であった可能性があります)。さらにもう一つ、あれっと思ったのは、玄米を提供する食品メーカーの研究者2名がこの論文の共同研究者リストに入り、さらに責任著者(教授)がこのメーカーから研究費を受け取っていると記載されていたことです。
となると、このような研究結果を本当に額面どおりにとってもいいのでしょうか?この産経新聞の記事には、オープンラベル試験であったことも、メーカーとの共同研究であったことも、まったく記載されていませんが、これは実は研究上の大きな問題点だったかもしれません。ただし、論文の最後のほうには「玄米と白米は食べた感じが違うので、検査のやり方を二重盲検にしたとしても、被験者はどちらを食べているかがわかってしまったであろう、だからオープンラベル試験の形を取らざるを得なかった」という著者の記載がありましたが…。
玄米は、白米に比べて、ビタミンB群やミネラル、食物繊維が豊富で血糖値の上昇が穏やかであるなど、健康維持に役立つ優れた食材ではありますが、そのことは別にして、「茶碗1杯の玄米を週4回、6カ月食べ続ければ、認知症になりにくい」というような簡単な話にするのはちょっとおかしいです(マスコミ、記者さんたちにはもう少し勉強をして貰って、こういう軽々しい取り上げ方をするのは是非やめて欲しいものです)。
皆さん、玄米はからだにいいとは思いますが、これを食べたら認知症除けになるなどとは思わないでくださいね。おそらく私のポストをお読みになる多くの方々はよくおわかりだとは思いますが…。

高齢者が日常生活の制限なしに生活するためには、フィジカル・フィットネスを日頃から保つ努力が必要です。フィジカル・フィットネスとは、1枚目の図に示すように、次の5つの要素からなるとされています。1番目は、心肺持久力、すなわち、全身に酸素を長く...
11/08/2026

高齢者が日常生活の制限なしに生活するためには、フィジカル・フィットネスを日頃から保つ努力が必要です。
フィジカル・フィットネスとは、1枚目の図に示すように、次の5つの要素からなるとされています。
1番目は、心肺持久力、すなわち、全身に酸素を長く効率よく送り届ける力で、簡単に評価する方法として 2分間ステップテストがあります。
2番目は、筋力、すなわち、筋肉が抵抗に対して発揮する力で、簡単な評価法として握力測定があります。
3番目は、筋持久力、すなわち、筋肉が疲労に耐えて動き続ける力で、これには、上体起こしテストやプランクテストが評価法として用いられます。
4番目は、柔軟性、すなわち、関節を大きく動かすことができる能力で、簡単な評価法としてバックスクラッチテスト(背中の後ろで両手を上下から近づけ、その距離を測る)があります。
5番目は、体組成、すなわち、体内における脂肪と筋肉の割合で、簡単な評価法として体組成計による測定があります。
台湾でこれらの項目を総合的に評価することにより、高齢者のフィジカル・フィットネスの程度と長生きの間に関係があるのか、調査が行われました。対象となったのは13,423人(72.9±6.1歳、女性62.5%)で、登録時から7年間、観察が行われました。被験者のBMIの中央値は24.6 (22.5-27.0)と日本人とあまり変わらない値でした。
まず、フィジカル・フィットネスの評価のために、2分間ステップテスト(その場で2分間足踏みをして膝を上げた回数を測定)、30秒椅子立ち上がりテスト(30秒間で椅子から立ち上がれた回数を測定)、片足立ちテスト(片足だけで身体のバランスを保てる時間を測定)と8フィート・アップアンドゴー・テスト(椅子に座った状態から8フィート=約2.4メートル先のコーンを折り返して着座するまでの時間を測定)の4つのテストが用いられました。
その結果、2枚目の図に示すように、男性、女性の両方で、これらのテストで成績が良かった人(=フィジカルフィットネスの程度が高かった人)は、成績が悪かった人たちに比べて、明らかに7年間の生存率が高いことがわかりました。つまり、高齢者ではフィジカル・フィットネスの良い方が長生きすることが示唆されました。
次に、高齢者のフィジカル・フィットネスについてもう少し詳しく調べてみました(3枚目の図)。その結果、用いられた4つのどのテストにおいても、一番成績が上位の人たちが一番高い生存率を示し、そこから成績が下がるにつれて死亡率が上がっていく傾向がありました。つまり、高齢者ではフィジカル・フィットネスの高い人ほど長生きする傾向がありました。
このような結果を見ると、個人レベルでは果たしてどのぐらいのフィットネスが必要なのか、気になりますが、4枚目の図にあるように、どのテストにおいても結果は直線的ではなくて「変曲点」があることがわかりました。たとえば、30秒椅子立ち上がりテストでは30秒間で15回あるいは以上の回数立ち上がれるかが一つのポイント、バックスクラッチテストでは-10センチの壁を破れるかが一つのポイント、そして、8フィート・アップアンドゴーテストでは、女性の場合、10秒の壁を破れるかが一つのポイントとなっていました。つまり、どのテストにおいても変曲点があり、その変曲点を超えると、死亡率が次第に落ち着く傾向があったのです。
ということは、長生きするためには、むやみやたらと頑張る(=フィットネスを向上させる)必要はなくて、ある目標を持ち、そこを目指して、自分なりにフィットネスの向上を図れば良い、ということになります。
以上まとめると、これは70代以上の高齢者には大いに励みになる知見だと思います。ただなんでも頑張るのではなくて、特定の評価法においてはある一定の目標を設けてそれをクリアできれば良い、ということになります。そして、上記のフィットネスの5要素を念頭に置いて、目標をもってからだを動かしていけば、それが健康寿命を延ばすことにつながる、ということです。

体内でじぶじぶと続くような炎症(いわゆる慢性炎症)があると老化が進む、ということが広く言われていますが、一方で、なぜ慢性炎症が老化というプロセスを促進するのかについてはあまり良くわかっていません。アメリカの研究グループが、マウスを使ってこの...
09/08/2026

体内でじぶじぶと続くような炎症(いわゆる慢性炎症)があると老化が進む、ということが広く言われていますが、一方で、なぜ慢性炎症が老化というプロセスを促進するのかについてはあまり良くわかっていません。

アメリカの研究グループが、マウスを使ってこの問題にアプローチして、『加齢に伴い、老化した好中球(白血球の一種;通常は細菌を食べて殺すという機能を持つ)が増えて、老化好中球そのものやその産物が周囲の細胞や組織を傷つけ、老化を促進する』ということを専門誌Scienceのオンライン7月16日号に報告しています(https://www.science.org/doi/10.1126/science.aea3075)。

彼らは、さまざまな種類のマウスを使うことにより『この老化を進めるプロセスを調節しているのが組織に定着しているマクロファージという食細胞である』と結論しています。

彼らによると、通常はマクロファージが老化した好中球を除去することによって老化を抑制しているとのことですが、マクロファージが老化をしてくるとEP2受容体(体内の生体物質であるプロスタグランジンE2(PGE2)が結合する4つの主要な受容体(EP1〜EP4)のうちの一つ)を介したシグナルが過剰に働くようになり、その結果、老化好中球の排除が妨げられ、結果的に、老化好中球が周囲の組織を傷つけるために老化のプロセスが進むとしています。

一方、老化マクロファージにおいてEP2シグナルを抑制してやると、低下していた老化好中球の排除が回復してきて、その結果、老化好中球の数が減り、老化のプロセスが抑制されるとのことです。つまり、EP2シグナルの抑制は老化抑制につながるかもしれないという話です。

これは、非常に面白い研究結果なのですが、問題は、私から見ると、これらの結果が主にマウスの実験によって得られている、ということです。ところが、マウスの寿命は2,3年と短く、ヒトとは寿命が大きく異なります。また、マウスの好中球は血中白血球の10-25%程度、一方、ヒトでは50-70%であり、マウスとヒトでは免疫細胞の構成比がかなり異なります。それに、今のところ、ヒトの長寿・健康に関するゲノムワイド関連解析(GWAS)でEP2遺伝子がヒトでの寿命や若返りに関わることを示すようなデータは得られていません。

以上まとめると、組織中のマクロファージが不要になった好中球の掃除役として働き、マクロファージのEP2シグナルがそれを抑制するスイッチとなる、という知見は面白いのですが、これが老化を調節する鍵である、とするのにはちょっとエビデンスが足りません。

これはアンチエイジングを狙う企業が飛びついてきそうな話ではありますが、ヒトへの応用という点ではまだかなり距離がありそうである、というのが私の判断です。私から見ると、老化を遅くするには定期的にからだを動かすこと(=運動をすること)が一番です。アンチエイジングのサプリメントなどを信じるよりは😅、からだを動かすことのほうがずっと老化抑制に役に立つと思います。

新型コロナワクチン反対派の人たちは「新型コロナワクチン接種は、心筋炎などの主要心血管イベント(命に関わる重大な症状や死亡などが見られる心血管疾患の総称)のリスクを上げるので危険だ」というのですが、これまでのデータは一貫して逆であり、主要心血...
07/08/2026

新型コロナワクチン反対派の人たちは「新型コロナワクチン接種は、心筋炎などの主要心血管イベント(命に関わる重大な症状や死亡などが見られる心血管疾患の総称)のリスクを上げるので危険だ」というのですが、これまでのデータは一貫して逆であり、主要心血管イベントのリスクは新型コロナワクチン接種よりも新型コロナに感染するほうがずっと高くなることを示しています。私自身、フェイスブック上で何度もこのことについて紹介してきました。
https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid0XhHTAS9xAhebnWCbrMfSWar8towhNzAguhiBhLHxfip5s36giebfV5YYpWUF9zFcl
https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid02j3Gs6HXvAU5tTiabLViY6hpw9airi9a2aG77a9ijN9j7QFsrLVRhzQGd9repNfxFl
https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid01E3g46g38f7b6va65z7mhBfoR7ucYjrNKxG4yLKXACSWwE6i3E17ju3nmc7fZ82Gl

しかし、新型コロナワクチン反対派の人たちはこれらのデータを信じようとはしません。では、今回のデータを彼らはどう読むのでしょうか?

これは、アメリカで2020年12月から2024年12月の間に登録された約3千万人のデータを分析した結果で、専門誌npj Vaccinesに掲載されたものです(https://www.nature.com/articles/s41541-026-01528-3)。この調査では、調査対象者を(1)新型コロナ未感染、新型コロナファイザーワクチン未接種、(2)感染済、ワクチン未接種、(3)未感染、ワクチン接種済、(4)感染済、ワクチン接種済の4群に分けて、登録から3か月以内、6か月以内、9か月以内、9か月以上の4つのタイムポイントにおいて予め指定された50の心血管疾患の発症率と死亡率を調べています。

その結果、1枚目の図に示すように、新型コロナ感染をすると、非感染者と比べて、心筋梗塞リスクが約2倍、心嚢炎リスクが約2.5倍、心筋炎リスクが4.5-5.5倍、肺塞栓リスクが3-4倍、脳卒中リスクが1.2倍、死亡リスクが約4倍高くなっていました。また、そのリスクは感染から9か月後でも元に戻ってはいませんでした。

一方、ファイザーワクチン接種をすると、2枚目の図に示すように、心筋梗塞リスクが~70%減少、心筋炎リスクが>90%減少、肺塞栓リスクが~90%減少、死亡リスクが ~90%減少し、その効果は女性では9か月間、男性では6か月間持続していました。

以上、主要心血管イベントのリスクを見ると、新型コロナ感染によるリスクはワクチンによるリスクを大きく上回ることが明らかであり、ワクチンをしたほうが健康上のベネフィットが大きいということになります。つまり、私がこれまで紹介してきたことがアメリカの大規模調査で確認されたということになります。

もともと私は「ワクチン接種は個人のチョイス」と言っていますが、ここまでデータが出てもワクチン接種のベネフィットを理解されない方は、それはまさにご自分のチョイスですね。

新型コロナに感染すると、体内に潜んでいた種々のウイルスが活性化されて、それが新型コロナ感染症状の悪化や後遺症症状の発現に関係しているのではないかということが、これまでの研究によって示唆されてきましたが、いずれの研究も規模が小さく、調べられた...
07/08/2026

新型コロナに感染すると、体内に潜んでいた種々のウイルスが活性化されて、それが新型コロナ感染症状の悪化や後遺症症状の発現に関係しているのではないかということが、これまでの研究によって示唆されてきましたが、いずれの研究も規模が小さく、調べられた患者数が限られていました。

そこで、アメリカの研究グループが、新型コロナで入院した1,154名の患者について詳細に経時的調査を行い、その結果をNatureオンライン8月5日号に発表しています。

それによると、新型コロナ感染後にはこれまで健常であった人たちの体内で種々のヘルペスウイルス(ex. EBウイルス、サイトメガロウイルス)やアネロウイルスなどの活性化が頻繁に見られるとともに、血中ではウイルス活性化に伴って炎症性サイトカイン濃度が増すなど、様々な二次的変化が見られ、さらに、ウイルス活性化の程度と新型コロナ感染の重症度がよく相関すること、さらに、後遺症の症状発現や持続とも密接な関係があること、などが示されています(https://www.nature.com/articles/s41586-026-10740-z)。そして、この論文がNatureの同じ号のNews欄に大きく紹介されています。

面白いのは、ウイルスによって再活性化のタイミングが違うことで、EBウイルスやアネロウイルスの再活性化は新型コロナ感染の初期から見られ、一方、サイトメガロウイルスや単純ヘルペスウイルスの再活性化は感染から3週間後をピークとして見られることです。そして、驚いたことに、これらのウイルスの再活性化はそれまで健康であった人たちで見られていて、以前から免疫が弱っていたために起きたのではないように見えることです。

ということは、新型コロナ感染自体がこのようなウイルスの再活性化を起こした可能性が高く、しかも、再活性化されているのがEBウイルスやサイトメガロウイルスのような特定の病気と密接な関連を持つウイルスであり、それが新型コロナ感染や後遺症の病状と密接な関連を持つということを考えると、これらの現象は決してたまたま起きたものではなくて、新型コロナの病態形成に深く関連を持っている可能性があります。

さあ、新型コロナのことを良くご存じないまま「このウイルスは単なる風邪ウイルスだ」とか、「大したことのないウイルスだ」と言っておられた方々、どう反応されますか?

新型コロナウイルスが大したことがないように見えるのはうわべだけであって、実際はからだの中に潜んでいる種々のウイルスを活性化させ、いろいろな病気の原因を作り出しているのですよ。これまでも新型コロナ感染後に心筋梗塞や脳卒中などの種々の病気のリスクが上がることがわかっていましたが、こうなると、これらの種々のウイルスの再活性化を防ぐことも新型コロナの治療においては大事なことなのかもしれません。

このように、次々から新しいことがわかってきているのですから、まずはご自分の知識を新たにしたうえで、再度、どのような発言をすべきか、よく考えていただきたいものです。
https://www.nature.com/articles/d41586-026-02443-2

Reactivation of typically harmless anelloviruses, in particular, seems to be linked with developing long COVID, study finds.

昨日は「感染症を侮ってはいけない」というポストをあげましたが、きょうは「ウイルス感染を侮ってはいけない」というポストをあげます。中高年者ではもともと脳血液関門が若い時よりは緩くなっているので、ウイルス感染の際にウイルスがこの関門を超えて脳に...
03/08/2026

昨日は「感染症を侮ってはいけない」というポストをあげましたが、きょうは「ウイルス感染を侮ってはいけない」というポストをあげます。
中高年者ではもともと脳血液関門が若い時よりは緩くなっているので、ウイルス感染の際にウイルスがこの関門を超えて脳に入るリスクが高くなっています。
ウイルスが脳内に入ると、神経細胞が死んだり、神経細胞の新生が障害されたり、脳内で起きる炎症のために免疫系の異常が起こり、これらが合わさると、認知障害、けいれん、頭痛、疲労、抑うつ・不安感の出現、人格変化、睡眠障害などが明らかな症状として表れてくるようになります(https://www.nature.com/articles/s44298-025-00160-7)。
実際、インフルエンザや新型コロナでも、感染後に明らかに種々の脳神経系疾患の発症リスクが高くなることがわかっています。
「たかがウイルス感染」という人が居ますが、時には、「されどウイルス感染」ということになります。

いまだに「インフルエンザやコロナはただの風邪、あるいは単なる感染症の一つ」というような書き込みが多くありますが、それは古い知識に基づくもので、そんな断定はできません。最近では、感染症はむしろ、油断すべきものではなくて、種々の病気のもととなる...
02/08/2026

いまだに「インフルエンザやコロナはただの風邪、あるいは単なる感染症の一つ」というような書き込みが多くありますが、それは古い知識に基づくもので、そんな断定はできません。最近では、感染症はむしろ、油断すべきものではなくて、種々の病気のもととなる可能性があることがわかっています。なかでも心配なのは、認知症を含む神経系の病気です。
イギリスの研究者たちが、電子記録をもとに、約100万組のマッチングされた個人ペア(48.4±23.6歳、女性51.5%)について、感染症で入院した人たちがその後1ヶ月から約2年の間に、感染症以外の理由で入院した人たちと比べて、14の脳神経疾患の発症リスクがどのように変化したかを調査しました。その結果が最近の専門誌JAMA Psychiatryに掲載されています(https://jamanetwork.com/.../jamapsych.../fullarticle/2851369)。
その結果、種々の感染症によって、感染後1ヶ月から2年までの間に精神神経系異常のリスクが増えることが確認されました。図にはその結果の一部を示しますが、脳の感染症である髄膜炎では、脳炎、認知障害てんかん、脳内出血のリスクが増えます。また、脳以外の感染症であっても、呼吸器感染症や皮膚感染症では認知障害、性感染症や尿路感染症では気分障害や不安障害のリスクが増えます。
新しい医学の知識が足りないにもかかわらず、知ったかぶりをして「インフルエンザやコロナは単なる風邪」などと言い回っている人たち(なかには専門外の開業医や大学の現役あるいは元研究者たちも居ますが)、よく最近の文献を読んでから発言するようにしてください。感染症は決して油断しても良い病気ではありませんよ。

「肉に対するアレルギーはマダニによる吸血が原因かも知れない?」7月31日号のNatureオンライン版のNews欄に「アメリカでよく見られる吸血性マダニ(Amblyomma americanum)が赤身肉に対するアレルギーを誘導する」という記...
01/08/2026

「肉に対するアレルギーはマダニによる吸血が原因かも知れない?」
7月31日号のNatureオンライン版のNews欄に「アメリカでよく見られる吸血性マダニ(Amblyomma americanum)が赤身肉に対するアレルギーを誘導する」という記事が載っています。

このマダニはlone star tickと呼ばれ、そのメスの背中には星のような白い斑点が一つ見られます。このマダニの唾液にはアルファ・ガル(α-gal; galactose-α1,3-galactose)と呼ばれる糖鎖が存在し、一方、この糖鎖はヒトには存在しません(ヒトを含む旧世界ザルでは突然変異によってα-galを作る酵素が不活化されている)。従って、このマダニに咬まれると(特に複数回咬まれると)、人ではアルファ・ガルに対するIgMやIgG抗体が作られ、一部の人ではさらにIgE抗体が多く作られることがあります(=抗体のクラススイッチとよばれる現象)。

一方、アルファ・ガルは赤身肉や一部の乳製品などに含まれていることから、アルファ・ガルに対するIgE抗体を持っている人がこれらの食品を摂取すると、アナフィラキシーとよばれる重度のアレルギーが起きる可能性があります。また、このマダニは鹿にも寄生するようで、鹿の通った草むらを人が歩くと、このマダニに咬まれ、アルファ・ガルに対するアレルギーを発症することがあるようです(奈良の鹿にもマダニが居る可能性がありますよ、要注意です)。

アメリカ合衆国だけでも毎年約1万5千人がこのアレルギーを発症していて、ほとんどの症例は上記のlone star tickの多い地域で見られています。また、このタイプのアレルギーは、他にも多くの国々で増えているようです。これには地球の温暖化や鹿の増加などが関わっているようですが、それ以外に原因があるのかもしれません。

世界で一番、アルファ・ガルに対するアレルギーの多いのがオーストラリアです。特にAustralian paralysis tickというマダニが多く生息している地域(東海岸域)では10万人あたりで700人以上もがアルファ・ガルに対するアレルギーを持っています。また、この記事によると、日本では2-4%程度の人がアルファ・ガルに対するIgE抗体をもっているとのことです。

このアレルギーの一つの特徴は、アレルゲンを含む食べ物を摂取してから発症するまでに場合によっては8時間ぐらいかかることがあることです(通常の食物アレルギーは摂取から分単位、長くても2時間以内に起きる)。アレルギー発症時には、重症時にはエピペン注射あるいはネフィー点鼻液の噴霧ですが、対症療法としては抗ヒスタミン剤投与があります。しかし、一番はアルファ・ガルを含む食品を摂取しないようにすることです(しかし、アルファ・ガルは様々な食品に含まれているので、まったく食べないというのはなかなか難しいのですが…)。いずれにせよ、肉を食べた時にアレルギー症状が出る方はアルファ・ガルに対するアレルギーが起きているのかもしれません。念頭に置くべきことです。

The allergy is caused by ticks, but researchers have much to learn about it.

新型コロナにかかると、ウイルス自体はからだから消失したにもかかわらず、疲労感、倦怠感、頭がぼんやりして集中できないブレインフォグ、記憶障害や不眠などを訴える場合があります。これが新型コロナ後遺症です。世界保健機関(WHO)は、「発症から3カ...
31/07/2026

新型コロナにかかると、ウイルス自体はからだから消失したにもかかわらず、疲労感、倦怠感、頭がぼんやりして集中できないブレインフォグ、記憶障害や不眠などを訴える場合があります。これが新型コロナ後遺症です。世界保健機関(WHO)は、「発症から3カ月経った時点でもみられ、少なくとも2カ月以上持続し、他の疾患として説明がつかないもの」を新型コロナ後遺症の定義としています。

これまで、新型コロナ後遺症の発症リスクを下げる有効な薬剤があるのか、検討が進められてきましたが、Nature誌の7月29日オンライン版のNews欄に「二つの薬剤が新型コロナ後遺症の発症リスクを下げるかもしれない」と報告されています。

一つは抗ウイルス剤のパキロビッド(Paxlovid)、もう一つは抗糖尿病剤のメトフォルミン(metformin)です。

パキロビッドについては、新型コロナ後遺症の発症リスクを約4割下げるという報告が最近、ノルウェーから出ていて、論文が専門誌Lancet Infectious Diseasesに発表されています(https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(26)00244-6/fulltext)(これについては、既に私のポストでも紹介しています:https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid02B2hUVpHMKfB3zgwdM3rEc86koT9nQcMCJ6Rnz7Zavqe1TaVPj2WuAeoLJiez9o4wl)。

また、メトフォルミンについては新型コロナ後遺症の発症リスクを半分に引き下げるという論文がアメリカから発表されています(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42240559/)。

上記の臨床治験はいずれもプラセボ群を設けた無作為試験ですが、被験者数がまだ限られているという問題があります。また、新型コロナ後遺症の発症リスクを下げていたとしても、そのメカニズムが明らかではありません。今後、さらに被験者数を増やして解析が行われる必要があるとともに、新型コロナ後遺症の発症メカニズムについてもさらなる研究が必要であると思われます。
https://www.nature.com/articles/d41586-026-02341-7

Rigorous trials suggest they reduce the risk of long-term disease after coronavirus infection.

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