大地堂治療院

大地堂治療院 患者さんの症状に対して常に向き合い、しっかりと説明、治療、指導を行?

開院時間の一時間前、院にはまだ誰もいない。シーツを整え、鍼を並べ、電気を一つずつつけていく。この時間だけは、誰にも急かされない。自分のペースで、今日一日のことを考える。若い頃は、この時間をぎりぎりまで削っていた。少しでも長く寝ていたい。準備...
26/08/2026

開院時間の一時間前、院にはまだ誰もいない。

シーツを整え、鍼を並べ、電気を一つずつつけていく。この時間だけは、誰にも急かされない。自分のペースで、今日一日のことを考える。

若い頃は、この時間をぎりぎりまで削っていた。少しでも長く寝ていたい。準備は開院直前に済ませればいい。そう思っていた。

今は、この静かな一時間を大事にしている。今日はどんな方が来るか、前回どんな話をしたか。頭の中で一人ひとりを思い浮かべながら準備をする。

慌ただしく始まる一日と、落ち着いて始まる一日とでは、自分の気持ちの持ちようがまるで違う気がしている。根拠を説明しろと言われると難しいが、長年やってきた感覚として、そう思う。

誰もいない院内の静けさが、一日を支えてくれている。

あなたにも、一日を始める前の、自分だけの時間はありますか。

施術を終えた患者さんを、引き戸のところまで見送る。「お大事に」と声をかけて、外に出ていく背中を見る。その背中の見え方が、来たときと違うことがある。歩き方、肩の落ち方。言葉にはしないけれど、こちらはよく見ている。見送りは、施術の一部だとは、若...
24/08/2026

施術を終えた患者さんを、引き戸のところまで見送る。

「お大事に」と声をかけて、外に出ていく背中を見る。その背中の見え方が、来たときと違うことがある。歩き方、肩の落ち方。言葉にはしないけれど、こちらはよく見ている。

見送りは、施術の一部だとは、若い頃は思っていなかった。施術台の上で終わりだと思っていた。

今は、玄関先の数秒も含めて、その日のやり取りだと思うようになった。ドアが閉まる音を聞くまで、気を抜かないようにしている。

雨の日は傘を差し出すこともある。何気ない一言を交わすこともある。そうした短い時間の積み重ねが、また来ようと思ってもらえるかどうかに、案外効いている気がする。

施術台の上だけが仕事ではない。院に来てから出ていくまでの、すべての時間が仕事なんだと、年を重ねるほど思うようになった。

あなたの仕事にも、本題の外側にある、実は大事な時間はありますか。

開業したばかりの頃、施術料金をいくらにするか、何日も悩んだ記憶がある。安くしすぎれば続けられない。高くしすぎれば誰も来てくれない。近隣の相場を調べては消し、消しては調べを繰り返した。結局、自分の技術にどれだけの自信を持てるかという話でもあっ...
21/08/2026

開業したばかりの頃、施術料金をいくらにするか、何日も悩んだ記憶がある。

安くしすぎれば続けられない。高くしすぎれば誰も来てくれない。近隣の相場を調べては消し、消しては調べを繰り返した。

結局、自分の技術にどれだけの自信を持てるかという話でもあった。まだ経験の浅かった当時は、その自信がなかなか持てなかった。

値段を決めたあとも、しばらくは「これで本当にいいのか」という迷いが消えなかった。患者さんが「高い」と感じていないか、勝手に不安になっていた時期もある。

今は、料金について以前ほど迷わなくなった。技術と時間に、きちんと向き合ってきた自負が少しずつできたからだと思う。それでも、値段を決めるということは、自分の仕事の値打ちを自分で決めることだと、今でも時々考える。

簡単に決められることではなかった。

あなたは、自分の仕事の値打ちを、どうやって決めていますか。

19/08/2026

以前は、予約帳に手書きで書き込んでいた。

電話が鳴るたびに帳面をめくり、空いている時間を探して書き込む。シンプルなやり方だったが、書き間違いも、正直ゼロではなかった。

デジタルの予約管理に切り替えると決めたとき、正直かなり迷った。長年やってきたやり方を手放すことに、抵抗があった。紙のほうが、患者さんの顔を思い浮かべながら書き込める気がしていた。

実際に変えてみると、思っていたより早く慣れた。空き状況がひと目でわかるようになり、電話対応の時間も短くなった。浮いた時間は、目の前の患者さんに使えるようになった。

それでも、紙の帳面をめくっていた頃の感覚を、少し懐かしく思うことがある。効率と、手触りのようなもの。両方を完全には持てないのかもしれない。

新しいやり方に変えるとき、何を失って、何を得るのか。その両方を見ておきたいと今は思っている。

あなたの仕事にも、変えてよかったけれど、少し名残惜しいやり方はありますか。

17/08/2026

「いつもの感じでお願いします」と言われることがある。

説明しなくても伝わる関係。何年も通ってくれている方だからこそ、成り立つ言葉だ。最初は症状の説明から始まっていたやり取りが、いつの間にか短くなっていく。

名前を覚えるのは当たり前だと思っていた。でも、名前だけでなく、その人の癖や好みまで自然に覚えていることに、ふと気づく瞬間がある。うつ伏せになる前の一言、施術中に好む沈黙の長さ、季節の変わり目に出やすい症状。

そうした積み重ねは、一回の施術では生まれない。何度も通ってもらう中で、少しずつできていくものだ。

新しく来られた方には、まだこの近道がない。だから最初は、時間をかけて話を聞くところから始める。いつか「いつもの感じで」と言ってもらえる日が来るかもしれない、そう思いながら。

関係を積み重ねるのに、近道はないんだと思う。

あなたにも、時間をかけてようやくできた「いつもの」関係がありますか。

14/08/2026

診療が終わったあと、その日書いたカルテを見返す時間がある。

その日の症状だけでなく、前回・前々回とどう変わったか。姿勢の癖、生活の変化、ふと話してくれた仕事の悩み。数値では表せないことまで、できるだけ書き残すようにしている。

昔は、その日の記録を書けばそれで終わりだった。振り返る時間まで手が回らなかった。

あるとき、数年ぶりに来院した方のカルテを開いて、以前の自分が書いたメモに助けられたことがあった。当時どんな話をしたか、何を気にかけていたか。忘れていたはずのやり取りが、文字を通して蘇ってきた。

それから、カルテは「今日の記録」であると同時に、「次に会うときのための手紙」でもあると思うようになった。

一人ひとりの積み重ねが、ページの中に静かに残っていく。それを見返す数分が、実は診療そのものと同じくらい大事な時間になっている。

あなたは、誰かとのやり取りを、あとから見返せる形で残していますか。

まだ見習いだった頃、先輩の手元を後ろから見ることしか許されない時期があった。道具に触らせてもらえるようになるまで、半年以上かかったと思う。掃除、洗濯、施術ベッドのシーツ替え。技術とは関係のない仕事ばかりが、最初の仕事だった。当時は、それが遠...
12/08/2026

まだ見習いだった頃、先輩の手元を後ろから見ることしか許されない時期があった。

道具に触らせてもらえるようになるまで、半年以上かかったと思う。掃除、洗濯、施術ベッドのシーツ替え。技術とは関係のない仕事ばかりが、最初の仕事だった。

当時は、それが遠回りに思えて仕方なかった。早く鍼を持たせてほしい。早く患者さんに触れさせてほしい。焦りばかりが先に立っていた。

今になって思う。あの下積みの時間に、実は一番大事なことを教わっていた。道具の扱い方、院の空気の作り方、患者さんを迎える前の準備の意味。技術書には書かれていないことばかりだった。

24年経った今、新しく入ってきたスタッフに同じことを教えている。最初は退屈に見えるかもしれない仕事の中に、後になって効いてくるものがある。

それを言葉で説明しても、たぶん伝わりきらない。自分がそうだったように、時間が経ってから気づくものだと思う。

あなたにも、当時は遠回りに感じて、後から意味がわかった経験はありますか。

プロのカメラマンに、プロフィール写真を撮ってもらった日があった。普段、自分の顔を意識することはあまりない。鏡を見るのは身支度のときくらいで、患者さんと向き合っているときは、自分の表情のことなど考えていない。撮影の間、何度も「もう少し自然に」...
10/08/2026

プロのカメラマンに、プロフィール写真を撮ってもらった日があった。

普段、自分の顔を意識することはあまりない。鏡を見るのは身支度のときくらいで、患者さんと向き合っているときは、自分の表情のことなど考えていない。

撮影の間、何度も「もう少し自然に」と言われた。力が入っているのが、自分でもわかった。24年、人前に立つ仕事をしてきたのに、カメラの前だとうまく笑えなかった。

何十枚も撮ってもらって、その中の一枚を選ぶとき、初めて自分がどんな顔で仕事をしているのか、少し客観的に見た気がした。

普段、患者さんが見ているのは、こういう顔なんだろうか。そう考えたら、少し不思議な気持ちになった。

出来上がった写真を見て、悪くないなと思えた自分にも驚いた。年齢を重ねた顔を、恥ずかしいと思わなくなっていた。

これまで、患者さんの顔ばかり見てきて、自分の顔をちゃんと見る機会はほとんどなかった。人に撮ってもらって初めて、自分がどんな表情でこの仕事をしてきたのか、少しだけわかった気がする。

あなたは最近、自分の顔をゆっくり見たのはいつですか。

引き戸を開けて入ってくる患者さんを、毎朝迎える。この場所を選んだ理由は、正直、当時はそれほど深く考えていなかった。家からの距離、家賃、物件の広さ。条件で決めた部分が大きい。それでも長く続けているうちに、この場所そのものに愛着が湧いてきた。看...
07/08/2026

引き戸を開けて入ってくる患者さんを、毎朝迎える。

この場所を選んだ理由は、正直、当時はそれほど深く考えていなかった。家からの距離、家賃、物件の広さ。条件で決めた部分が大きい。

それでも長く続けているうちに、この場所そのものに愛着が湧いてきた。看板の文字も、引き戸を開けるときの音も。全部、この院の一部になっている。

近所の店が変わり、道の景色が変わっても、この引き戸だけは変わらずにある。長く通ってくれている患者さんにとっても、この扉を開ける瞬間は、何年経っても変わらない儀式のようなものかもしれない。

新しく綺麗な物件に移る選択肢を考えたこともある。でも、そのたびに、この場所を選び直している自分がいた。

理由は、あとから付いてきた。何年分もの朝、この引き戸を開けてきた積み重ねが、いつしか理由そのものになっていた。最初から理由があって選んだ場所より、続けてきたから理由ができた場所のほうが、自分には合っている気がする。

条件で選んだ場所が、いつの間にか、理由のある場所になっていた。

長く、ひとりで施術をしてきた。スタッフと一緒に働くようになって、一番驚いたのは、自分が当たり前だと思っていたことが、当たり前ではなかったという発見だった。鍼の向き、患者さんへの声のかけ方、施術の合間の間の取り方。自分の中では説明する必要もな...
05/08/2026

長く、ひとりで施術をしてきた。

スタッフと一緒に働くようになって、一番驚いたのは、自分が当たり前だと思っていたことが、当たり前ではなかったという発見だった。

鍼の向き、患者さんへの声のかけ方、施術の合間の間の取り方。自分の中では説明する必要もないくらい染みついていたことを、言葉にして伝える必要が出てきた。

伝えようとして、初めて気づくことがあった。自分がなぜそのやり方をしているのか、実はうまく説明できない部分があった。感覚でやってきたことを、言葉にする作業は思っていたより大変だった。

それでも、伝える中で見えてきたものがある。それぞれのスタッフが、自分にはない気配りを持っていた。細やかさの種類が違う。院全体で見たとき、ひとりでやっていたときより、患者さんに向けられる目の数が増えた。

ひとりで背負っていたものを、今は分け合っている。その分、自分にしかできないことも、前よりはっきり見えるようになった。

あなたの職場にも、誰かと働くようになって初めて気づいたことがありますか。

住所

水道2-12-13-1F
Bunkyo-ku, Tokyo
112-0005

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