小川内科・循環器内科

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30/08/2026

腸内細菌叢と心房細動の関係
 2026年7月25日のJournal of Clinical Investigationにクリーブランドクリニックの研究グループが腸内細菌叢による代謝物質(トリメチルアミン:TMA)が 肝臓でトリメチルアミンN-オキシド(TMAO)に変換され、それが自律神経機能障害を惹起することで心房細動(af)発症の危険性を高めた、との研究結果を発表しました。
 TMAOは心血管疾患・心不全・慢性腎臓病の単独の危険因子として知られており、泡沫細胞を増殖させて動脈硬化を促進する・末梢から肝臓へのコレステロール逆転送を阻害する・血小板凝集能を亢進させ血栓形成を促進する・線維化-炎症反応を促進するなどの機序がこれまで報告されています。
 コリンは卵・肉・乳製品などに豊富に含まれ、細胞膜・胆汁の形成などに必要な物質ですが、一部は腸内細菌叢でTMAに変換され、そのTMAが肝臓で酸化されTMAOになります。クリーブランドの研究グループはTMAO濃度とaf発症の関係を臨床研究で示し、動物モデルを使ってコリン-TMA-TMAO-心房細動発症の機序を調査しました。
 待機的に心臓カテーテル検査行った5090症例のTMAO血中濃度とaf発症の危険性の評価では最低TMAO濃度群に比較して最高TMAO濃度群のオッズ比は1.7でした。
af発症モデルマウスCREM-lbΔC-XにTMAOを毎日餌に添加するとafになりました。別のaf発症モデルマウスC57BL/6JにTMAOを餌に添加したりしなかったりさせた後、経食道ペーシングすると、通常の餌のC57BL/6Jよりもafが誘発され易かったことも判り、TMAOのaf発症効果はマウスのモデル依存性ではない事が示されました。次にコリンを餌に加えるとCREM-lbΔC-Xは発作性af・慢性afを通常の餌の群より発症し易く、コリンをTMAに腸内細菌叢で変換するのを阻害するヨードメチルコリン(IMC)とコリンを一緒にCREM-lbΔC-Xの餌に加えるとTMAO濃度とaf発症は抑制されました。
コリンを投与されたCREM-lbΔC-Xマウスを通常の餌のマウスと比較すると形態的には左房の拡大が認められ、電気生理学的には、伝導測度の低下と活動電位の持続時間が短く、この事がafに成り易い要因であり、又コリン付加マウス群ではムスカリンM2受容体が阻害されており、つまり自律神経が障害を受けた状態で、相対的に交感神経優位になり、心拍数が増加しやすいのでafに成り易いことが示されました。
この研究で、コリン→TMA→TMAO→自律神経障害→電気生理学障害→心房細動という一連の機序が初めて示されました。またTMA合成阻害剤であるIMCの効果も示され、将来の治療の可能性を示唆しています。

30/08/2026

深層学習で突然死の新たな心電図指標を発見
 2026年6月24日にNatureオンラインに、AIの1種である深層学習(ディープ・ラーニング)を用いて一年以内に突然死を起こした症例の分析から心臓突然死(不整脈死)の心電図の新たな特徴的所見を特定した、との論文が掲載されました。
 心臓突然死は、米国だけで毎年数十万例起こっており、心室頻拍・心室細動によるものが大部分ですが、現在の知見では、それを完全に予測するには到っていません。深層学習を死因に関して信頼できる情報と結びついた大規模な心電図データに適用して、心臓突然死の予測モデルを作成し、生成モデルを用いて心電図の高リスク群の波形を可視化し、それを米国・台湾のデータも用いて外部検証する研究が今回実施されました。
先ずスウェーデンの2010~2016年に記録された441,614症例の心電図と死亡診断書・電子カルテの記録と連携させ、そのデータの40%は鍵付き保管され、論文が受理された後に初めて評価に使用されました。残りのデータの30%でモデル作成に使用し、30%を検証に用いています。外部検証に米国の251,858例の心電図・国立台湾大学の心停止症例記録も使用されました。予測モデルの突然死高リスク群は、データの2.2%を占めて年間突然死亡率7.0%に設定され、モデルの曲線下面積(AUC)は0.872と高い値を示しました。
 今回深層学習で発見した突然死の危険性が高い心電図の特徴は、左脚前枝ブロックと胸部誘導でのR波増高不良、そしてaVL誘導でQRS波形終末の鈍化(slurring):陰性S波が観られずR波終末がなだらかに基線に戻る、でした。特にaVL誘導の所見は今まで指摘されておらず、このaVL誘導のslurringは、それ単独で有意な危険所見であることをスウェーデンと米国の結果は示していました。
 では、このaVL誘導QRS波形終末のslurringは、電気生理学的に何を意味しているのでしょうか?著者たちは、QRSの電気的脱分極が時間の経過と共に無秩序化しており、これは脱分極過程が累積的に悪化している事を示唆すると考察しています。この変化は心臓全体のびまん性の変化で、aVL誘導はその異常を捉えるのに最適な誘導だったのでしょう。そして、症例の10%に施行された心臓MRIの異常から、その機序としてびまん性の心筋線維化を著者たちは想定しています。心筋細胞間に電気的に不活性なコラーゲンが沈着し伝導を変化させ、その初期の変化として脆弱な左脚前枝にブロックが出現、aVL誘導QRS波形終末のslurringが出現し、不整脈(心室頻拍・心室細動)→突然死という一連の機序の仮説を立てています。この仮説を検証するには、心筋生検・心臓MRI等を含む更なる研究が必要でしょう。
 この心電図異常の発見は、1986年のブルガダ型心電図異常の発見以来の衝撃を臨床現場に与えるでしょうが、aVL誘導QRS波形終末のslurringを見つけたら、直ぐ患者に植込み型除細動器を勧めるべきでしょうか?それは現時点では勇み足となるでしょう。

30/08/2026

高齢フレイル非ST上昇心筋梗塞症例に対する侵襲的・保存的療法の比較
 2026年4月21日のJAMAオンラインにSENIOR-RITA(シニア-リタ)研究の副次解析の結果が発表されました。
SENIOR-RITAは、イギリスの48施設で2016/11/1から2023/3/31までの期間に登録された、75歳以上の非ST上昇心筋梗塞(NSTEMI)1518症例を、冠動脈造影を行い血行再建術もしくは至適標準療法を行う侵襲的加療群と保存的に至適標準治療を行う群に1:1に無作為に振り分けて、両群の心血管死・非致死的心筋梗塞の発症数を比較した研究ですが、両群間に有意な差が無かったとの結果が話題になりました。
今回の副次解析は、フレイルと診断されたNSTEMI症例での侵襲的加療群と保存的加療群の有害事象(心血管死・非致死的心筋梗塞)発生数を比較しています。フレイルの診断はフリード・フレイル基準で3項目以上該当した場合です。フリード・フレイル基準とは、1)意図せず1年間で10ポンド(≒4.5kg)の体重減少がある2)最近4週間に日中休息を取りたくなるような疲労感がある3)身体活動の低下:中等度以上の身体活動を殆どしていない4)筋力低下:肥満度で異なるが、男性で握力が3回測定の平均値で29㎏~32kg以下、女性で17kg~21㎏以下5)歩行速度の低下:身長で異なるが、15フィート(≒4.5m)歩くのに6~7秒以上掛かる:の5項目です。
SENIOR-RITAの1518症例中フレイルと診断されたのは469症例(平均年齢83歳、女性51.2%平均観察期間4.1年)で、侵襲的加療群231症例と保存的加療群238症例では有害事象の発生数に統計的に有意差はありませんでしたが、侵襲的加療群で多い傾向がありました(有害事象発生割合:侵襲的加療群37.7%vs保存的加療群29.4%)。
この結果をどの様に解釈すべきでしょうか?先ず、症例数が左程多くない事は欠点でしょうし、侵襲的加療群で心臓カテーテル検査を施行したのが平均して入院5日目であった事は、日本との大きな違いでしょう。又、元々のSENIOR-RITAでは、プロトコール逸脱が多く、例えば保存的加療群の25%近くが観察期間に冠動脈造影が行われており、侵襲的加療群で血行再建術が施行されたのが症例の49.9%であった事は、結果に影響を与えた可能性を否定できません。医療費抑制の為、侵襲的加療を制限すべきとの研究の前提があったのかも知れません。現時点では日本での医療環境で、参考にする程度でしょう。但し、フレイルがある症例には慎重な治療方針決定が必要とされるでしょうし、もしかしたら75歳以上高齢者には全てフレイル診断を予めすべき、との意見も出るかもしれません。

30/08/2026

超加工食品と心血管疾患の関係
 超加工食品とは、通常NOVA分類でGroup4に該当する食品で、「工業的な手法で作られた、家庭料理で使わない食材や添加物が使用されている食品」です。超加工食品に該当するのは、清涼飲料水・キャンディやアイスクリームやチョコレートやクッキーやポテトチップスも含むスナック菓子・朝食のシリアル・一部の菓子パンやケーキ・カップ麺などのインスタント食品・ピザやパスタなどの冷凍食品・マーガリン・成型肉・一部のソーセージやハムなどです。
 近年、超加工食品の摂取量の多さと様々な疾患との関連性を指摘する論文が色々と出ています。2024年のBritish Medical Journal はメタ解析のアンブレラレビューを発表し、その分析によると、超加工食品の摂取量の多さは、睡眠障害・不安(オッズ比1.48)・うつ状態や心血管疾患の発症・心血管疾患に因る死亡(オッズ比1.50)や2型糖尿病(オッズ比1.12)と疑いようの無い関連性を示しており、肥満とクローン病・潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患とは示唆的な関連性を示していました。
 2026年3月17日JACC Advancesにカリフォルニア大学ロスアンジェルス校の研究グループによる白人・黒人・ヒスパニック・アジア系を含む人種での超加工食品の心血管疾患に対する影響を調査した結果が掲載されました。今迄の研究は、欧米の白人を対象にしたものがほとんどでした。45歳以上の心血管疾患を認めない6531例を対象に120項目の食物摂取頻度調査票を用いたアンケートで、超加工食品の摂取量を評価し、その摂取量で5段階に分類(分類1:1.14品目/日超加工食品を摂取、分類5:9.3品目/日超加工食品を摂取)し13年の観察期間中の心血管有害事象(非致死的心筋梗塞・心停止からの蘇生・冠動脈疾患に因る死亡・脳卒中・脳卒中に因る死亡)との関連を調査しました。その結果、超加工食品最大摂取群は、最小摂取群に比較してハザード比1.68と心血管有害事象の発生の危険性が高く、人種間では、黒人が最も有害事象発生の危険性が高い(黒人ハザード比:1.061 非黒人ハザード比1.032)事も判りました。
 日本では2024年に東京大学の研究グループが成人2742症例の8日間の食事記録から超加工食品の摂取量についての調査結果を発表しており、平均して総カロリー摂取量の3~4割が超加工食品から摂られており、若年者で喫煙者程超加工食品の摂取量が多い事が判っています。
 超加工食品は、そもそも添加される糖分・飽和脂肪酸・塩分量が多く、食物繊維・蛋白質・微量元素が少ない特徴があります。超加工食品の摂取量が多いと、総カロリー摂取量も多い傾向にあり、腸管での消化・吸収作用・腸内細菌叢・満腹感に影響を与え、その事がインスリン抵抗性・脂質異常症・高血圧・血管内皮機能異常・酸化ストレス増加を惹起し、炎症反応を亢進させる可能性がある事を幾つかの研究は示唆しています。

30/08/2026

痛風症例への厳格な尿酸降下治療は心血管疾患を減らす
 2026年1月26日のJournal of the American Medical Association Internal Medicineオンライン版に痛風症例への尿酸降下療法の効果を検証したイギリスの大規模研究の結果が発表されました。
2007年1月1日から2021年3月29日の期間に痛風と新たに診断され、尿酸降下療法を開始された18歳以上の109,504症例(平均年齢62.9歳±15.2歳、女性22.2%)の内、治療開始12ヶ月以内に血清尿酸値6mg/㎗未満を達成した群(T2T)29,919例と非達成群79,585例で主要心血管イベント(非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・心血管死)の5年間での発生数を比較・評価しました。
 治療前の尿酸値の平均は8.61㎎/㎗で、T2T群では平均5.18mg/dlまで尿酸値は下がりましたが、非達成群では平均尿酸値7.73㎎/㎗でした。解析の結果、T2T群は加重5年無イベント生存率が高く(加重生存率差1.0%)、主要心血管イベントの危険性は9%低い事が判りました。尿酸値5㎎/㎗以下に低下した群では更に効果があり、加重生存率差2.6%、主要心血管イベントの加重ハザード比0.77と低下していました。また、欧州心臓病学会の心血管リスク分類で高リスク群・超高リスク群で尿酸値降下の効果が著明(加重ハザード比0.88,0.91)でした。
 今迄も痛風症例・高尿酸血症症例への尿酸降下療法の心血管疾患抑制効果を検証した臨床研究は幾つもありましたが、有意差が付いた試験はありませんでした。今回の研究は、以前の研究と何が違うのでしょうか? 著者たちは、サンプルサイズ(抽出症例数)が大きかった事・追跡期間が5年と長かった事・試験のデザインが良かった事(痛風症例を対象とし、しかも新規の症例の新規の治療を行ったのを対象とした事、ガイドライン通りに尿酸値を6mg/dl未満に低下させた、させなかった、で比較した事)を挙げています。
 痛風症例では1年以内に目標の6㎎/㎗以下に尿酸値を下げる事が心血管有害事象を減少させるために重要である事は、今回の研究で明らかになりました。では痛風発作の無い無症候の尿酸値8.61㎎/㎗以上の高尿酸血症に対する尿酸降下療法は、心血管イベント予防の為に正当化されるでしょうか?現在の米国の高尿酸血症診療ガイドラインは、否定していますし、今回の臨床研究では結論は出ていません。しかし、恐らく著者たちは、痛風・痛風発作があった症例は全身的な炎症反応が持続しており、それが心血管疾患発症と関連している、と仮説を立てているでしょうから、無症候高尿酸血症に対する薬物治療には否定的でしょう。但し、今回の研究では炎症反応の評価はされておらず、尿酸降下療法と炎症反応との関係は今後の課題でしょう。

30/08/2026

主要心血管有害事象への睡眠・運動・食事の複合的影響
 2026年3月23日European Journal of Preventive Cardiology誌にニュージーランドの研究グループが英国Biobankの症例を対象に主要心血管有害事象(MACE:心血管死・急性心筋梗塞・脳卒中・心不全を含む)に対する睡眠・運動・食生活の質の複合的影響を評価した研究結果を発表しました。
 睡眠・運動・食生活の質が夫々心血管疾患に影響を与える事は、単独の因子のみの研究で明らかにされていますが、これら三つの生活習慣は相互依存的・双方向性に影響を与え合うが知られています。例えば、不十分な睡眠は食欲ホルモンの伝達を混乱させ、食事の嗜好に影響を与え、カロリー摂取量を増加させます。又、十分な運動は睡眠の質を改善させますが、逆に不十分な睡眠は倦怠感から身体活動を制限します。しかし、これら三つの生活習慣の複合的効果が心血管疾患予防に与える影響はこれまで殆ど研究されていませんでした。
 2006年~2010年の間に登録された53242症例(平均年齢63歳、男性56.8%)を8年以上追跡し、MACEの発生数を確認しました。登録時に睡眠時間・中~高強度の運動時間を手首に装着するスマートウォッチの様な加速度計を利き手に7日間連続して付けて記録し、食事内容についての質問票で食事の質を評価しています。食事の質は、果物の摂取量、野菜の摂取量、全粒粉のパン・燕麦等の摂取量、魚の摂取量、乳製品の摂取量、植物油の摂取量、精製されたパン・ビスケット・シリアルの摂取量、肉の加工品の摂取量、牛・豚・羊肉の摂取量、砂糖を添加された飲料の摂取量で夫々点数化(0~10点)していますが、最初の6項目は摂取量が多い程高得点、後の4項目は摂取量が多い程低得点の100点満点です。夫々三つの生活習慣を低・中・高の群に分けて、年齢・性別・喫煙・教育レベル・貧困・飲酒・財産・高血圧/糖尿病/高コレステロール血症の加療歴・悪性疾患の有無などの影響が等しくなる様に調節し、MACE発生数を比較しました。
 その結果、8~9.4時間の睡眠時間・42~104分/日の中~高強度の運動量・食事質問票の点数が32.5~50.0点の群は最低評価群に比較してMASEの発生数は57%も低い事が判りました。10分多く睡眠時間を摂り、毎日5分多く中~高強度の運動をし、手のひら一つ分多く野菜を摂取する事でMACEの危険性を10%下げる事も判明しています。
 症例数の多さ、睡眠時間・運動時間の正確さ、複数の生活習慣を一緒に分析した事がこの研究の利点で、僅かの生活習慣の改善でも効果がある事を強調したのは、今後の実臨床に大きな影響を与えるでしょう。

30/08/2026

十分な水分補給は加齢を遅らせるかもしれない
 中年期以降に十分に水分補給をする事は、老化を遅らせる可能性がある事を示唆する研究がLancet eBioMedicineに2023/1/2発表されました。
マウスの実験では長期間の水分制限は寿命を縮め退行性変化を促進する事が知られています。人間でも十分な水分補給は老化を遅らせる、との仮説を検証する為に、米国の国立心肺血液研究所のグループがARIC研究の一部として行いました。
1987~89年に登録された米国の45~66歳1,5792症例に対して1990~92年の期間、1993~95年の期間、1996~98年の期間、2011~13年の期間に検査・調査されました。健常人では、水分不足時には血清ナトリウム(Na)値が上昇します。水分補給量の指標として研究グループはNa値を用いました。浸透圧・水分調節バランスに影響を与える正常Na値の(135~146mmol/ℓ)範囲外、血糖値が140㎎/㎗以上、BMIが35以上の肥満症例を除外し、11,255症例でNa値と死亡率・慢性疾患発症数を比較し、生物学的年齢算出の指標の血圧・コレステロールに影響を与える降圧剤・高脂血症治療薬を内服している症例も除外し6,956症例について生物学的年齢と暦年齢の差、死亡率・慢性疾患発症率を比較しています。登録時と1990~92年間での調査(Visit2)時の平均でNa値は計算し、Visit2での生理的指標(収縮期血圧・推定糸球体濾過量・尿素窒素・シスタチンC・クレアチニン・尿酸値・努力呼気量・血糖値・コレステロール値・HbA1c・糖化アルブミン・フルクトサミン・CRP・アルブミン・βミクログロブリン値)からKlemera-Doubal法で生物学的年齢を算出しています。
解析の結果、中年期のNa値が142mmol/ℓ以上の群では心不全・認知症・慢性肺疾患・脳卒中などの慢性疾患発症のリスクがNa値138.5~139.5mmol/ℓの群に較べて39%高く、早期死亡の危険性はNa値144mmol/ℓ以上の群でNa値137~142mmol/ℓの群より21.5%高い事が判りました。Na値142mmol/ℓ以上では生物学的年齢が暦年齢より高い(年齢より老けている)事と有意に関連しており(オッズ比1.50)、生物学的年齢の高さは慢性疾患発症の危険性(ハザード比1.70)、早期死亡の危険性の上昇(ハザード比1.59)との関連が認められました。
健康な成人で毎日体重1kg当たり30mlの水分補給を勧める文献や、食事も含め男性で3.7ℓ/日・女性で2.7ℓ/日の水分摂取を勧める海外の文献もあります。水分補給は、過剰に行うと水中毒になり却って健康を害する危険性があり、基礎疾患によっても適切な水分摂取量は異なります。掛かりつけ医に相談されて下さい。

30/08/2026

腎デナベーション:新たな高血圧治療法
 2025/9/1に日本でも腎デナベーション(RDN: renal denervation)治療装置2種類が保険適応となりました。RDNは、腎除神経術・腎脱神経術の意味で、以前は腎交感神経焼灼術とも呼ばれて、ヨーロッパでは2009年から行われ、米国でも2023年に食品医薬局に認可され現在世界70カ国以上で行われています。
 自律神経の1種である交感神経は活性が亢進しますと、血圧を上昇させ、心拍数を増加させ、特に腎臓に於いては血圧を上昇させるレニンの分泌を促進させ、ナトリウムの再吸収を増加させ、腎血管抵抗を増加させるなどの作用で血圧を上げます。高血圧症例の中にはこの交感神経が異常に活性化されているものが含まれると考えられています。
 RDNは腎動脈にカテーテルを進め、腎動脈周囲の交感神経を電気か超音波を用いて多方向/複数ヶ所焼灼して交感神経を抑制する治療法です。
 初期の著明な有効性を示した臨床研究の後、2014年にRDNは有意な降圧効果を示さなかった、との衝撃的なランダム化比較試験の結果が出て以来、装置・手技の改良、臨床試験デザインの見直しが行われ、2015年から2023年までに行われた複数のランダム化比較試験では対照群と比較しての有意な有効性が確認されました。
 ヨーロッパ高血圧学会の2023年の治療指針では、RDNは治療抵抗性の高血圧に対する治療の選択肢の一つとして推奨されており、この治療抵抗性の高血圧とは、サイアザイドを含む3種類の降圧剤を最大容量用いても診察室での血圧が140/90mmHg以上の状態を指しています。そして、推定糸球体濾過量が40ml/分/1.73㎡以上の腎機能を有し、二次性高血圧を除外した症例にRDNの適応がある、と声明を出しています。アメリカ心臓協会の2024年のRDNに対する公式声明では、更に妊娠症例・線維筋異形成症例・腎動脈にステント留置例・腎動脈瘤症例・著明な腎動脈狭窄症例・腎/副腎腫瘍例は適応外と述べており、日本の高血圧・循環器・心血管インターベンション治療学会、三学会共同の2025/9/24の声明も前述二つの学会の声明に添うものです。
 RDNが有効と考えられる症例の特徴として、重症高血圧・若年成人・肥満を伴う・睡眠時無呼吸症候群がある・アジア系である、を挙げている論文もあり、将来RDNの適応が期待されるのに、慢性腎臓病・慢性心不全・心房細動・2型糖尿病・心室性頻拍など自律神経のバランス改善が病態の制御に重要な疾患が挙げられます。

11/08/2026

◇お盆期間休診のお知らせ◇

8月12日(水)9時〜13時診察
8月13日(木)休診
8月14日(金)休診  
8月15日(土)休診
8月16日(日)休診
8月17日(月)9時〜13時診察
14時30分〜18時診察

14/07/2026

🔹帯状疱疹ワクチン定期接種のお知らせ🔹

◇対象者 飯塚市、嘉麻市、桂川町にお住まいの65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、100歳以上の方
◇金額 
・2,500円(乾燥弱毒生水痘ワクチン)
・6,500円×2回(乾燥組換え帯状疱疹ワクチン)
※非課税世帯、生活保護世帯は負担額0円(非課税証明書、医療カード持参)
◇接種券、マイナンバーカードまたは資格証明書
◇予約制 予約電話 0948-22-2010

住所

福岡県飯塚市吉原町6-1あいタウン3階
Iizuka-shi, Fukuoka
8200040

営業時間

月曜日 09:00 - 18:00
火曜日 09:00 - 18:00
水曜日 09:00 - 13:00
木曜日 09:00 - 18:00
金曜日 09:00 - 18:00
土曜日 09:00 - 13:00

電話番号

+81948222010

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