09/09/2026
「指示を聞かせる」前に、「この人と関わりたい」と思える関係を
今日、幼稚園を訪問して、子どもたちの様子を観察していて、改めて感じたことがあります。
発達障がいの有無にかかわらず、子どもたちは思っている以上に、大人に「見てほしい」「気づいてほしい」「一緒に楽しんでほしい」と働きかけています。
自分が拾った葉っぱ、作ったものを見せに来る。遊んでいるものについて話しかける。ふざけて大人の反応を見る。何気なく近くに寄ってくる。
こうした行動に大人が笑顔で応じたり、興味を示したり、一緒に遊んだり、「できたね」と認めたりする。そんなポジティブなやり取りが積み重なると、子どもはその大人に近づき、話しかけ、そしてその大人からの働きかけも受け入れやすくなっていくように思います(もちろん、不適切な行動に反応しないことが肝心です)。
ABAでは、ともすると「指示を出す→子どもが行動する→ほめる」という随伴性に目が向きがちです。しかし、その随伴性が成立する以前に、そもそも「その大人と関わること」や「その大人から認められること」が、子どもにとって強化的になっているかを考える必要があります。
行動分析的に考えれば、これは決して「関係性」という曖昧な概念だけで説明する必要はありません。
・子どもの発信に大人が応じる。
・子どもの好きな遊びに大人が加わる。
・要求や注意をするときだけではなく、何も問題が起きていないときにこそ関わる。
・楽しい経験や安心できる経験を大人との関わりの中で積み重ねる。
そうした経験によって、大人の声かけ、笑顔、承認、さらには大人の存在そのものが、社会的な強化刺激として機能するようになると考えることができます。
日本のフリーオペラント的な発達支援や、米国のPRT、ESDM(Early Start Denver Model)など、アプローチや理論的背景には違いがありますが、子どもの自発性や興味を大切にし、大人との楽しい相互作用の中で学習を成立させようとする点には共通するものがあります。
「言うことを聞かないから、もっと強く指示する」
ではなく、
「この子にとって、私は関わりたい相手になっているだろうか?」
と考えてみる。
もちろん、よい関係をつくればすべての問題が解決するわけではありません。必要に応じて機能的アセスメントや環境調整、具体的なスキル形成も必要です。
それでも、子どもに何かを「させる」ことから始めるのではなく、まず大人の側からポジティブな関わりを増やす。
これは発達障がいのある子どもへの支援だけではなく、すべての子どもとの関係を考えるうえで、ABAがもっと大切にしてよい視点ではないかと思いました。
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