不整脈専門医の冒険 シーズン2(八尾 武憲)

不整脈専門医の冒険 シーズン2(八尾 武憲) 複数の病院で不整脈治療を行っています。病院・医院からの診療依頼をお?

23/04/2018

シーズン2

おかしい。
フリーランス医の説明は確かこう言っていた。「群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけが武器」だと。同業者かと思っていたが、4月からこうして与えられた研究室の机に座っている自分は明らかに違う(注:作成は勤務時間外です)。フリーランスで不整脈治療を行っていることには変わりないものの、身分は大学教授という光栄な職を与えられ、その嬉しさに浸る間もなく講義のスライド作りとこれまで通りの病院通いに追われる日々。「フリーター、家を買う」というのがあったが、その続編に立候補できるかもしれない。「フリーランス医、教授になる」とか。結局のところ、冒頭の説明はフリーランス医の定義ではなく、主人公の女医の生き様を表しているに過ぎないのだから、自分に当てはめようとしてもおかしい訳だ。

きっかけは突然でしたが、4月からの新しいスタートは半年以上に及ぶ綿密な計画と手続きによるものでした。華々しい研究成果や多額の研究資金といった実績にあふれた教授ではありませんが、与えられた真っ白なキャンバスを埋めるように、大学で唯一の医師として、あるいは臨床医として特色のある講義や研究を行っていきたいと考えています。そして、これまで通りの出張アブレーションも、自らの技術向上だけでなく若手の育成にも寄与していきます。

10/03/2018

シーズン1のまとめ

 先日の予告の通り、5年の歳月を経てシーズン1はエンディングを迎えることになりました。「出張カテーテルアブレーション」は上手くいったのでしょうか。
 2013年に開始してから現在まで、出張が終了した病院もあれば、新たに開始した病院もありました。依頼元の病院スタッフとの打ち合わせ、協力していただけるメーカー・業者さんとの調整など、私だけでなく関係する人々全てがノウハウを蓄積していく中で、依頼から実際に1例目のアブレーションに至るまでの期間は短くなりました。出張アブレーションでは予定の手技を完遂して撤収することが重要です。「私、失敗しないので」というのはお話しの世界のことで、細心の注意を払っていても症例の中にはトラブルが生じたものもありました。カテーテル手術という侵襲的な治療を行う上では避けられない部分でもありますが、そのような場合でも主治医の先生の術後管理のお陰で皆さん無事に退院されました。出張アブレーションが成功するかどうかを考えたとき、私自身のカテーテル操作というのは要素の一部分に過ぎません。必要な機器がきちんと揃うか、足りない道具はないか、必要な薬剤を適切に投与できるか、患者さんが治療に同意されるか、術前術後の管理が出来るか、などなど多くの方々が協力しながら一丸となって患者さんの治療成功を目指すことが成功に不可欠な要素だと思います。その上で考えると、術者の勤務形態(常勤か非常勤か)というのは重要な要素ではないと言えます。これは両方を経験し、さらには同時に経験した結果を踏まえての結論です。むしろ、雇用の問題というのは全く別に考えるべき問題です。
 出張アブレーションはまだまだ継続可能なビジネスです。多数のカテーテルアブレーションを行っている病院がある一方で、これまで血管カテーテル手術のみを行ってきた病院が収益減少のため不整脈治療へのシフトを考えているケースもあります。もちろん受診した目の前の患者さんを自院で治療したいという思いもあります。しかし、症例0のところへいきなり常勤で赴任し、不整脈部門を立ち上げてそれなりの症例数を稼ぐ不整脈医がゴロゴロと転がっている訳ではなく、不整脈医自体も多いとは言えない状況にあります。病院にとっても人件費と収益を天秤に掛ける雇用問題と直結しています。非常勤医としての出張アブレーションは、当初の目論見通り隙間のニーズを満たせるものとなっています。一方で出張アブレーションの問題点は、術者の人生にあるのではないでしょうか。これは社会問題として度々取り上げられる非正規雇用問題と直結しています。確かに最低賃金の時給で日銭を稼ぎながらネットカフェで過ごすのと同列には考えられませんが、不安定さという点では共通しています。出張アブレーションは症例があってこそ成立します。月に何日訪問すると予定していても、症例がなければ収入は0です。保険などの社会保障も自腹です。いくつかの病院を掛け持ちして平均的には安定できた場合でも、「叩き上げのスキルと専門医のライセンスが彼の武器」とか言いながら、それを何歳まで続けるのか、将来どうするのかという問題が待ち受けています。この問題を解決する方法として、私は常勤医を行いながら掛け持ちする方法を選択しました。当初は常勤先でもアブレーションを行っていましたが、2017年9月からは侵襲的治療を行わない回復期療養型病院で週4日、当直なしの勤務にシフトしました。これと並行して週1日定期的な非常勤勤務で外来とカテーテルやペースメーカー手術を行い、さらに出張アブレーションに出掛けるという戦略です。立ち上げ事業にやり甲斐を感じていたこれまでから、出張への配分を高める方向へ変更しました。この方法は非常に良かったと思います。さらに、これまで経験の不足していたリハビリテーションや介護、終末期医療の現状を学ぶことが出来たのは大きな収穫です。カテーテルと回復期療養型という両極端を同時にこなすというのは希な経験だったと思います。
 成功を感じていたのならばここで止める必要はないのですが、常勤医は今年度末で終了です。出張アブレーションは続きます。人生の転機とは思いがけないところから訪れるのでしょうか。何が始まるのかはシーズン2をお楽しみに。新たなる冒険が始まります。

13/09/2017

<前回までのあらすじ>

フリーランス不整脈医としての活動は徐々に軌道に乗りつつあったとはいえ、非常勤医師という立場は安定を得られるものではなかった。数年にわたる勤務が終了してしまったかと思えば、また新たな勤務先が出てくるという浮き沈みの中、それでも着実に「出張アブレーション」という分野を確立させるべく、あちこちへ出掛ける日々であった。そんな中、不整脈部門の確立のためと病院から誘いを受け、それに応じて常勤医として新たなる冒険がスタートした。病院の新築移転もあって非常に整った環境の中で目的を果たすため勤務する一方で、それまでの出張勤務もこなす日々となった。施設認定や不整脈専門医研修施設を取得し、当初の目的は達成するに至った。しかし、2回目の立ち上げ事業はもはや新たなる挑戦や冒険ではなく、経験ある業務を繰り返すだけであった。そのことが原因なのか、あるいは他に理由があったのかは知る由もないが、2年間の勤務の末に病院を去る決心をしたのであった。辿り着いた先はカテーテル治療を行わない病院での常勤勤務。不整脈専門医の冒険はこれで終わってしまうのか?不安を抱えたまま第1章は終焉を迎える。

2018年4月よりセカンドシーズン開始決定!!
乞う御期待

個人的には2施設目の取得となりました。
07/02/2017

個人的には2施設目の取得となりました。

09/12/2016

今年も放送大学面接授業があと1週間に迫ってきました。
受講生の方が訪問していただいているようですが、更新できず申し訳ありません。現在スライドを鋭意作成中です。昨年からさらに内容を追加して皆さんを満足させられるよう頑張ります。

渋谷でお待ちしています!

27/10/2016

「若者の○○離れ」という、キーワードを入れると物事の不振の言い訳ができる魔法の言葉がありますが、40代は若者には入れてもらえないでしょう。何かと離れていく若者という社会現象の一つに「出世願望のない若者」というのが話題に上がっていたのですが、他人事ではなかったので。

常勤勤務になったとはいえ、複数施設での不整脈診療のニーズを満たしている現在の生活をふと考えると、以前の価値観とは全く異なっていることに気付きます。1つの組織に属していると、そこで出世していきたいという欲が出ます。ところが、ある程度収入が確保され、やり甲斐のある仕事をしていると、出世欲がなくなってしまいます。出世に価値を見いださなくなってしまうからです。出世は組織の中で認められたことの証になるわけですが、「カテーテル手術をして欲しい」という具体的なニーズは、必要とされている証に他なりません。

学会に対する意識も変わってきました。医師が所属する学会には、年に一度「学術集会」というのがあって全国から同じ分野の医師が集まって講演や発表が行われます。聴講して最新の知識を吸収することはもちろん、自ら研究発表を行うことが業績となります。かつて指導医から「学術集会は発表しに行くのが当然で、ただ参加するだけなどもっての外だ」と教わったもので、業績を蓄積するために(日々の診療から離れて旅行に行くために)一生懸命演題を作ったものでした。大学から離れた後、旧伊豆国で働いていたときもその活動は欠かすどころか積極的に行っていましたが、フリーランスになった後は、まとまったデータを蓄積することが難しくなって発表が減り、最近は地域での講演の方が多くなりました。一方で学術集会への参加の意義も変わってきました。学会には専門医制度があり、取得すると更新のために活動を証明する単位が必要になります。集会に参加するとその単位が加算されるため、毎年の参加は必須です。「発表できる演題がないから」と参加せずにいると、せっかく取得した専門医を失ってしまいます。ということは、逆に言えば毎年学術集会に出席していれば、内科、循環器、不整脈の専門医として続けていけます。更新制度の是非や正当性についてはここでは触れませんが、気掛かりなのは学会に対する意識の変化です。学会発表を積極的に行っていた頃は、「どうすれば座長になれるのか」「評議員になるための資格は何か」というように学会で認められるにはどうすれば良いかを必死に考えていました。しかし、専門医になり、学位を取得し、留学も済ませ、しかも大学で出世するのでなければ、専門医の更新のために学会に参加していれば十分な訳です。深い関わりを持たなければ、用務に追われることなくアブレーションをしていられることになります。何となく感じていた後ろめたさが薄れれば薄れるほど、これほど素晴らしいことはないと思うようになります。目の前の患者さんがどんどん治療されて、病院の経営に貢献し、自分自身はやりたいことを一生懸命やればよい。どうですか?みんな幸せじゃないですか!
これからの若い世代が多く同調すれば将来的に破綻を招きかねませんが、世の中には優秀な先生がたくさんおられるので心配ないでしょう。
「しっかりと腰を据えて昇進していくのが正道だ」という意見もあります。しかし、周りを見ていると第一線で活躍していた40代後半の先生方が部長にならず、次々と開業しています。一体何が起こっているのでしょう。それでは私も先輩に習って開業を…と言いたいところですが、オンデマンドで手術するフリーランスは、開業医の道から最も遠い場所に位置しているように思います。

果たして、この価値観は時代に合わせた柔軟な変化なのか、単にぶっ壊れた誤りなのか知りたいところです。

住所

Kumiyama, Kyoto

アラート

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