機能性医学とは、分子レベルで疾病をとらえるOrthomolecular Medicineを提唱した物理学者ライナスポーリングの取り組みを受け継ぎながら、アメリカを中心に発展してきた医学であり、現在米国では、加速度的にこのアプローチが普及し、2009年春には、医療制度を抜本的な改革をもたらす次世代の医療であるとして、米国の公聴会で米国の機能性医学学会の役員が招聘された。
機能性医学を簡単にいえば、「病気の治療ではなく、病態の治療」といえる。現代医療は、ひとたび診断名がつけば型通りの治療をすることが多い。
しかし実は同じ診断名でも、全く異なった病態でその診断の根拠となる症状を呈するこということは稀ではなく、その治療がその患者さんの疾病をうまく治す事ができないという事がおこり、症状だけおさえる対症療法に終始してしまうことは、臨床でよく見かける光景である。
「その患者の訴え(主訴)を根本から解消し、再発しない。さらに他にも患う事がないようにする」ということが医業であるならば、「診断に労力注ぐのではなく、病態把握とその改善に、資源を投入すべきである」すくなくとも自分はそう思ったので、機能性医学を取り入れ、唯一の日本人医師として実践している。
治療の中心はサプリメントなどを用いた栄養療法と生活習慣の変革であり、日本でも主流となりつつある分子整合栄養医学と大変近い、ルーツがライナスポーリング博士であるので類似しているのも当然である。よい知識は普及しやすいものである。
違いを述べるならば、腸内環境(腸管バリアと腸内フローラ)、肝臓の解毒、を重要視しており、病気はもちろん、健常人の訴える不調までもが、このアプローチを用いると問題点が明確化され、効率よく原因治療がおこなえる。
慢性疾患と診断、すなわち「治りませんから死ぬまで薬で押さえながらつきあって行くのですよ」と宣告された患者に、減薬、しいては完治をもたらす可能性がある治療として、今後主流になって行くであろう治療アプローチである。自分は機能性医学を「代替医療」とは呼ばず、「次世代の医療」とよんでいる。
(2009/11 第7回世界アンチエイジングフォーラム抄録から)