03/06/2026
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瀬戸内の海に刻まれた歴史と石の記憶
今回訪れたのは、瀬戸内海に浮かぶ塩飽諸島のひとつ、讃岐広島。
船が港を離れると、多島美と呼ばれる美しい島影がゆっくりと広がります。
穏やかに見えるこの海は、古代には大和と西国を結ぶ「海の道」でした。
讃岐と阿波、吉備や難波をつなぎ、多くの人々や文化、技術が行き交った瀬戸内海。
神櫛王の伝承が残る讃岐と、鷲住王の伝承が息づく阿波もまた、この海によって結ばれていました。
島々を眺めていると、古代の海人たちも同じ景色を目印に航海していたのではないかと思えてきます。
そんな歴史の舞台となった島で宿泊したのが、
「つきの宿 Shiwaku」さん。
趣ある門をくぐると、そこには静かで穏やかな時間が流れていました。
丁寧に手入れされた古民家、広々とした和室、美しく飾られた打掛。
歴史を感じながらも心地よく過ごせる空間に、自然と気持ちがほどけていきます。
塩飽諸島は、日本遺産にも認定された「石の文化圏」。
広島では良質な花崗岩が産出され、古くから石工たちが活躍してきました。
島で切り出された石は瀬戸内の海を渡り、大阪城の石垣や近代日本を代表する建築物にも使われています。
海を渡ったのは人や文化だけではなく、島の石そのものだったのです。
海人たちが築いた航海の歴史。
塩飽衆や塩飽水軍が支えた海上交通の歴史。
そして石工たちが刻んだ「石の文化」の歴史。
讃岐広島には、それらが幾重にも重なって息づいています。
夜になると聞こえるのは風の音と虫の声だけ。
古代から続く瀬戸内の海を思いながら過ごす時間は、まるで歴史の流れの中に身を置いているようでした。
旅とは景色を見ることだけではなく、その土地が積み重ねてきた時間に出会うこと。
「つきの宿 Shiwaku」