17/09/2026
~『北極星』より スタンプビジネス~
サブスクリプションというものに手を出さない私。唯一の例外が西野亮廣氏のオンラインサロン『ニシノアキヒロエンタメ研究所』に加入していること。たぶん10年近く継続しています。西野亮廣氏はキングコングというコンビの有名なお笑い芸人ですが、芸人の顔よりも実業家としての一面を見ています。今では毎年M-1グランプらのお笑いショーレースをチェックをしていますが、テレビ番組や芸能をほとんど観ていない時期がありました。その頃にブレイクした芸人で、後にキングコングがM-1で準優勝したことやはねるのトびらという人気番組があったことを知ります。
絵本から映画、ブロードウェイ、美術館運営と幅広く事業を展開し、クリエーターでもある西野亮廣し。彼の動向をチェックしつつ、経営や生き方の参考にしています。西野亮廣氏は複数のビジネス本を出していて、『革命のファンファーレ』という本のインパクトは非常に大きかったです。新型コロナが世間を襲う前。鍼灸師業界に影響を与えた一冊でした。そして今年出版されたのが『北極星 僕たちはどう働くか』。
幻冬舎 北極星 僕たちはどう働くか 西野亮廣
https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344045583/
以下、『北極星』と表記します。『北極星』は西野亮廣氏が自身の過去最高作品だと自画自賛するビジネス書籍。これまで彼の書籍は全て読みましたが『革命のファンファーレ』以来の衝撃を受けました。あじさい鍼灸マッサージ治療院を開院して12年。個人事業主であり、術者であるとともに経営者でもある私。技術があっても続けることは難しい。経営も含めて“腕”であり、私の業界でよくささやかれる「腕さえあれば食っていける」という言葉には技術はもちろん集客する・経営する技量も必要であるということがあまり知られていません。本当に技術さえあればいいのか、という問いに12年間やってきて(※出張専門から数えれば14年、国家資格を取って19年、その前から働いている期間をいれれば25年)、答えは間違いなくNoです。開業するのは容易で続けることが遥かに難しいこの世界。美容院やラーメン店に比べれば驚くほど簡単ではありますが。日々どうしたら続くのかを考えています。
あじさい鍼灸マッサージ治療院が続くためには患者さんに来てもらわないといけません。それ以外にもいくつか収入減がありますがそれは微々たるもので、やはり患者さんに施術をして対価をいただくことが経営の柱。どうしたら来院してもらえるかは永遠の課題です。永遠というのは範囲がデカすぎるかもしれませんが、本当にそうなのです。施策がはまって患者さんが増えたとしても、それは一過性のことが多くブームに過ぎません。ずっとそのやり方が続くかというと必ず終息します。10年以上やっていれば思い知ります。この方法でずっと安泰だ!と息巻いたこともありましたが長くは続きません。ちょっと評判になったとしても、年単位でみれば継続していません。
『北極星』では<評判は人を集め、仕組みは人を残す>というワードが登場します。SNSで評判になる。いわゆるバズるという現象。それによって注目を集めても残っていくのは本当に一握り。毎日押し寄せる情報の波に飲まれて忘れていきます。
<評判によって集められた関係は、評判が薄れた瞬間にほどける>
このように西野亮廣氏は述べるのです。嫌いになったわけではなく、行く理由がなくなった。評判とは、あくまで近づくきっかけに過ぎず、一度は足を運ばせる力はあるのだが、「関係を結び続ける力」は持たないのだと解説します。それでは「関係を結び続ける力」をどのように構築すればよいのでしょうか。その答えとして<スタンプビジネス>という概念を西野亮廣氏は提唱しています。
観光地の駅や施設にスタンプが設置しております。スランプラリーをしている人は必ず押すでしょう。そうでなくても観光地に来たのだから、無料だし、という気持ちでつい手が伸びてしまうことがあるでしょう。そこには好きだから、評判だからというという意識はなく、ここに来たのだからやっておこう、やらないわけにはいかない、という心理があります。このような『旅程や行動の文脈に組み込まれ、「やらずに通り過ぎると、どこか落ち着かない」状態を作るビジネス』をスタンプビジネスと定義しています。また“販売”というものも定義していて、販売とは、『人々の行動パターンの中に、自分たちのコンテンツを“定位置”として組み込むこと』だとしています。西野亮廣氏がテレビ番組で紹介していましたが、私が頻繁にいく箱根ガラスの森美術館を例に挙げて。箱根ガラス森美術館は年間来場者数が約35万人。年間50万人の来場があったことも。毎年30万人を動員するアーティストが国内でどれだけいるでしょうか。しかし世間一般では箱根ガラス森美術館を知らない人は多い。SNSでバズっているわけでもテレビ番組で引っ張りだこでもありません。
評判で集客することに依存すると評判が落ち着いたときに、お客は来ない理由を残さないまま離れていきます。明確にクレームを言うわけでもなく。評判だから行ってみた。確かめてみた。それで目的は満たされます。評判(話題性)で行う集客(経営)には必ず終わりがある。そのためにスタンプビジネスが必要だというのです。そこに行く(買う)習慣になっている。それをしないと収まりが悪い。そのような仕組みがあるもの。お客さん(患者さん)の行動や行事の中に、あらかじめ居場所を作られているもの。一過性の成功でもたせるビジネスではないものです。
それができれば苦労しないという話ではあります。誰もが来ないといけない理由。それが私の仕事ではいわゆる“腕”になります。ここでいう“腕”とは患者さんの症状を即座に治してしまう技術といってよいでしょう。ただしこれは落とし穴があって、本当に何でも即座に治してしまうのであれば患者さんは一度しか来ません。次にくる理由(必要)がないからです。また痛くなったら来るよ、と先人は言いますが本当に痛くなるのか。それはもう慢性症状でそのときは良くなっただけで治ったとは言わないのでないでしょうか。それが“腕がある”人といえるのか。結局、あれこれ継続して来てもらえる施策をうっていかないといけない現実があります。重要なことは評判に頼るのではなく、ここに来るのが当たり前というスタンプビジネスを目指せということです。あじさい鍼灸マッサージ治療院に来ないといけない理由を構築していく。
具体的なやり方を『北極星』では紹介しています。集客するといってもお客さんに自分のところを思いついてもらわなければ始まらないわけで、思い出されない限り選択肢にすら上がらないのです。だから生活の中に残り、思い出され続ける仕組みを作っていく。販促グッズは収益を目的としたものと、次の集客を生み出すための想起を担うもの、の2種類がある。収益目的のグッズだけではなく想起させるためのグッズも作らないといけません。それは引出しにしまってしまうものでは駄目でカレンダーや枕といった常に目に入るものであること。私の場合ですとSNSの投稿やホームページの更新がそれにあたると思います。
評判よりも定番。ブームよりも文化。スタンプビジネスとはお客さんが特に意識せずとも来てもらえる。京都に行ったのだから生八つ橋を買って帰ろう、清水寺に行こう、というようなもの。そうなるために必要なことを自分(あじさい鍼灸マッサージ治療院)なりに考えて実行していきます。
甲野 功
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